アーカイブとして、調香ワークショップ×作曲家シリーズ 各回の開催レポートをお届けします。第4回は2023年10月28日に開催したJ.S.Bach バッハの音楽と調香ワークショップ。
忘れられた作曲家ーー。
後世の作曲家に影響を与え、今日では「音楽の父」と呼ばれる大作曲家バッハは生前その才能に相応しい待遇を受けていませんでした。オルガン奏者や楽師長として演奏、作曲、指導に励み、生活は貧しくとも慎ましく、敬虔なキリスト教徒としてその生涯を送りました。音楽に身を捧げた一生の中で、オペラ以外のジャンルは全て作曲したバッハ。その多くは聖書の内容を歌う宗教曲や長男フリーデマンを始めとする後身の音楽教育のための作品(後の≪平均律クラヴィーア≫など)があります。今日では著名な≪無伴奏チェロ組曲≫や≪マタイ受難曲≫は死後に「再発見」された作品でした。
生前は優れたオルガン奏者として活躍したバッハ。勉強熱心で素晴らしいオルガニストがいると聞きつけては片道450キロもの道のりを徒歩で旅行する、バッハの自由さと快活な精神力がうかがえるエピソードも残っています。
ピアニストの徳力清香さんによる音楽案内はバッハの数々のエピソードに加わり、音楽理論(「純正律」と「平均律」の違い)やバッハによる数字へのこだわり『バッハコード』についての言及など、いつにも増して濃厚な内容。バッハが生涯こだわった数字「14」は「B=2」「A=1」「C=3」「H=8」を合計したもの。コーヒーは毎日14杯飲む、音楽協会は14番目に入るように調整するなど、作品のみならず、実生活においても14へのこだわりが感じられます。同じく「3」も敬虔なクリスチャンであったバッハにとっては重要な数字でした。キリスト教を象徴する三位一体 ー 父(神)・子(イエス・キリスト)・聖霊 ー 。3つの調性、3つの主題、3回の受難予告と3日後の復活、数字の「3」はあらゆる作品に散りばめられています。
生涯国内にとどまり、故郷テューリンゲンの森の散歩道や徒歩旅行に思いを馳せながら、「森のアコード」やウッディ系シングルノートを多めに用意したバッハ×調香ワークショップ。個性的で酸味豊かな森のノートにそれぞれ聞き入りました。
BLISSFUL POTION WORKSHOP
調香ワークショップ×作曲家シリーズ
第4回 J.S.バッハ
Johann Sebastian Bach(1685-1750)
日時:2023年10月28日(土) 14時00分 – 16時00分
会場:gartenガルテン(金沢市東兼六町1-26)
≪平均律クラヴィーア≫
≪無伴奏チェロ組曲≫
≪アリオーソ≫
≪ゴールドベルグ変奏曲≫
≪マタイ受難曲≫
Keywords:
音楽への捧げもの
仕掛け
好奇心