パフューマリー通信 Vol.22

新しい年を迎えました。

元旦に発生した能登半島地震では多くの命や生活が失われ、かつてこれまでにない甚大な被害をもたらしました。今もなお、沢山の方々が避難生活を余儀なくされ、断水や停電が続く地域があります。能登は大好きな場所です。大切な方が暮らす場所、大切な方の故郷です。

金沢・長町にある自宅やアトリエ・パフューマリーは大きな被害もなく無事でした。お心をお寄せくださった皆様に心より感謝いたします。大きな被害も混乱もなく、日常生活を送れる有難さを感じながら、能登に想いをよせています。

私ができることを模索している日々ですが、香りのお仕事をさせていただいている私ができることのひとつは、香りを通して「気」を巡らせていくことです。天然香料には植物の気(エッセンス)が封じ込められています。ぎゅっと詰まっています。香水は最低限の衣食住が満たされた上での嗜好品かもしれません。けれども、香水は一番簡単なセルフケアであり、瞬時に効くレメディです。おすすめの処方をお伝えいたします!

『セルフケアとしての処方』

「気付け薬」・・・ローズマリー・ジャスミン・ジンジャー。全て強い香りの組み合わせですが、冬の寒い朝にはすっと背筋が立つように、夏の暑い日には活力を与えてくれます。

「癒し」・・・定番処方はラヴェンダー・オレンジ。刺激も少ないため、小さな子どもから高齢の方までお使いいただけます。マッサージにもおすすめです。

「リフレッシュ」・・・ユーカリ・プチグレン・ペパーミント。忙しいとき、情報量が多いとき、頭が疲れたときなどリフレッシュしたいときに。香りを色に例えるなら白、心をまっさらにしてくれる処方です。

「清らか」・・・パイン・レモン・ベルガモット。場を清めたいときは針葉樹+シトラスの組み合わせがシンプルで心地良く、神聖な森に光が差し込むような処方です。

「鎮める」・・・ブルーカモミール・ゼラニウム・パチョウリ。深い香りが心の内側を静かに見つめ、高ぶった気持ちを静めて自分を取り戻すお手伝いをします。

『自分宛の手紙 ~今年初めての新月に』

今日は2024年初めての新月。20:58 に新月を迎えます。太陽と月と地球が一直線に並び、月が最もパワフルに働くとき。ありたい姿を描く、誓いのとき。香りのブランド『Rite of Passage』のパートナーでもある小西敦子さんに教えていただいた習慣、「その年の最初の新月に綴る自分宛の手紙」は、1年の終わりにこうありたいという自分の姿を思い描きながら自分宛の手紙を書き、その年の最後の満月に開封するというもの。

特に今年は元旦の能登半島地震から始まり、大きな転換を迎えている方も多くあられると思います。言葉にすることは難しい作業で、私自身、言葉を探すのにいつも時間が掛かります。言葉とは種のような存在だと思います。発せられたひとつの言葉から芽が出て、少しずつ育っていくように。そして、いつかは自ずから旅立っていくように。

香りが持つ力をこれまで以上に信じて、こころに寄り添う香りを探求してまいります。

新しい年が皆様にとって健やかで穏やかな光と愛で満たされる1年となりますように。