パフューマリー通信 Vol.19

今日は天秤座の新月。そして本日の日食が意味するのは、太陽と月がピタリと重なり、バランス感覚を取り戻すとき。

『パルファン Amor Mundi 』

中秋の名月の夜の映画会、金沢に大形綾さんを迎えてのトークイベントを経て、昨日10月14日よりハンナ・アーレントに捧げる香水『パルファン Amor Mundi』の一般販売を開始いたしました。

パルファン Amor Mundi <香水> 50mL - ハンナ・アーレントに捧げる | BLISS Natural Perfumery powered by BASE
パルファンAmor Mundi は、時代の荒波に翻弄されながらも、他者とともに生きる世界を信じて思索を紡いだ、20世紀を代表する思想家 ハンナ・アーレント(1906-1975)に捧げる香水です。 香り明晰なシトラス・ハーバル調のトップノート...

<Amor Mundi(世界の愛)>とは研究者にとってもアーレントの最大の魅力でありながら最大の難問思想のひとつ。時として曖昧な言葉で、幅広い概念を含みますが、アーレントは世界(World/Welt)を人・間・物の3つの側面からとらえていました。「様々な物から成る世界が、そこを共通の住みかとしている人びとの間に横たわっている」、すなわち間としての世界の内に生きるーー。それは、アーレントが暗い時代を経て、世界を「砂漠」から「故郷」へと取り戻す独創的な愛の探求でした。
 

香りのキーワードは「後からの癒し」。明晰なシトラス・ハーバル調のトップノートに、煙を燻らすようにシスタスが漂います。時と共に癒しと赦しが訪れるように、ジャスミンの花々が綻びはじめます。

アーレントに出会った当初は知的で冷静な女性に映ってばかりでしたが、アーレントを知れば知るほど、広い交友関係を持ち、慎み深く、愛情深い女性であることを感じました。一旦処方の構成を決めたものの、アーレントの勇敢さはその強さだけではないと何度も調香をやり直し、気付けばジャスミンをふんだんに使っていました。

仕上がった香水は独り立ちの準備ができました。

手に取ってくださった方々と共に、パルファン Amor Mundi が新しい旅へと出発できましたら何よりも幸せです。

パルファン Amor Mundi は オンラインストア またはアトリエにてお求めいただけます。

私もアーレントと世界への愛の探求は始まったばかり。

ぜひ、ご一緒に。