4月朔日のパフューマリー通信。花冷えの金沢。数日前に開花した犀川の桜もまだ一、二分咲き、というところ。きっと週明けの入学式の頃には満開かしら。新生活を迎えられるみなさま、おめでとうございます。なお、昨日まで神戸・広島へ出掛けていたため、パフューマリー通信の配信が遅れてしまいました。新月の習慣にしてくださっていたみなさま、大変失礼いたしました。。
瀬戸田のレモン
旅の目的地のひとつが瀬戸内海に浮かぶ広島県・瀬戸田町。言わずと知れたレモンの名産地で、瀬戸田のレモンは日本で最高峰と称されているとのこと。事前知識は殆どゼロ。直感だけで旅立ち、新しい発見ばかりでした。
瀬戸田にレモンが伝来したのは明治時代で、今では国産レモンの生産量の約30%を占めています。お伺いしたのは瀬戸田町で自然農法を実践する農園。レモンの旬は10月のグリーンレモンから始まり、今はほぼシーズンの終盤でした。旬の終盤のイエローレモンは糖度が11度まで上がるそうで、収穫したばかりのレモンを口に入れた瞬間、レモンの甘さに吃驚。皮も苦みが少なく、シャリシャリとした歯ごたえと爽やかな香りに感動しました。
また、レモンの葉をちぎるとレモンの果汁とはまた少し異なるレモングラス様のスパイスのような香りが立ち、この地方ではレモンの葉を刻んで、つくねに混ぜたりするそう。レモンの新芽も出はじめ、5月にレモンの花が咲くころには農園中がジャスミンの花のように香り漂う ー そんなお話を聞きながら興奮してばかりでした。
尤も、今年2月に襲った全国的な寒波の影響でレモンがダメージを受けたり、気候変動、自然農法由来の悩みや問題など、自然と共に生きることということの理想的な側面だけではなく、困難も堪えず付きまということに改めて感じる機会となりました。
金沢でお借りしている山の畑の雪も漸く解け、耕作のシーズンを迎えました。種から育てたラヴェンダーの苗が少しずつ大きくなってきたので、もう少し暖かくなった頃、畑に定植できればと夢見ています。
アーレントからはじめる言葉と香りの[はじまり]
今年は思想家ハンナ・アーレント(1906-1975)の没後50年。年初から温めていたシリーズ企画、アーレントの言葉を通して香りの対話をはじめます。
会場は同じ長町エリアで週末だけオープンされている書店・6号室にて。
オーナーの神野元次郎さんとの出会いは2年前、映画『ハンナ・アーレント』上映会のチラシを置かせていただいたのがきっかけでした。アーレントの代表作『人間の条件』が6号室のコンセプトに影響を与えていたことを知り、アーレントの思想を通して[勇敢さ]を経験する機会を紡ぎだせたら・・・。そんな想いを胸に、アーレントの朗読と調香ワークショップをはじめます。
先の大戦から戦後80年を迎える今、世界情勢は取り返しのつかない地点へと突入しています。一方で、世界各地で連帯を示すデモや集まりが開かれ、昨日訪れた広島・平和記念公園では海外からのたくさんの観光客を見かけ、多くのひとびとが平和を願う姿を目にしました。
今一度、アーレントの言葉と香りを通して、世界で生きる意味を問う、そんな時間となれば幸いです。

【内容】アーレントに関する朗読と調香。自然香水(7ml)を作成します。
*ワークショップでは、矢野久美子著『アーレントから読む』(2024年出版、みすず書房)を参照します。6号室にて本をご購入いただいた方にはワークショップの費用を500円割引きいたします。
【日時】4月29日(火・祝)
① 10:00~12:00「政治と自由」
② 14:00~16:00「世界喪失と理解すること」
【場所】6号室(金沢市長町1丁目4-34 すみれハウス#6)
*駐車場はありませんので、お車でお越しをご検討の方は、近隣のコインパーキングをご利用ください。
【定員】各回4名
【費用】5,500円/回 *現金のみ
【講師】茂谷あすか(調香師)
【お申込先】6号室 6goshitsu@gmail.com または BLISS blissnaturalperfumery@gmail.com まで
みなさまの新年度が豊かにはじまることを願って。
BLISS 茂谷あすか
