パフューマリー通信 Vol.44

2025年10月新月。金木犀が香る季節。先週までの夏日のような陽気とは打って変わって、急に冷え込むようになりました。今年は夏がとても長かった分、なんだか突然冬支度が始まったようです。

今回のパフューマリー通信は天然香料の規制と安全性について。

日本国内で流通する精油は輸入品が殆どで、「雑貨」あるいは「食品衛生法中の食品添加物」として扱われています。アロマセラピー用の精油は大半が雑貨ルートで流通しており、精油の使用について統一した安全性指針は存在しません。一方、香粧品用の香料はInternational Fragrance Association(IFRA:国際香粧品香料協会)が定める自主規制にもとづき、使用方法を提示しています。

IFRA スタンダード

IFRAは香料業界により香料の自主規制を行う国際組織として1973年に設立され、現在ブリュッセルに事務局が置かれています。香料の安全性をチェックする機関として非営利団体Research Institute for Fragrance Materials(RIFM:香粧品香料原料安全性研究所)を別に設置して、香料の科学的データ収集や分析、アレルギーや発がん性などの安全性確認試験を実施し、香粧品香料の使用について定期的に勧告を出しています。RIFMからの勧告にもとづき、IFRAが発表するIFRAスタンダードでは12の製品カテゴリー別で、香料の「Prohibition使用禁止」「Restriction 使用制限」「Specification 規格設定」を設けています。

最新のIFRAスタンダードは2023年7月に発表された IFRA 51st Amendmentにもとづいています。IFRA規制の対象となる香料や香料成分は製品の種別により最大許容濃度が設けてあり、香水の処方を決定する際にはIFRAスタンダートと睨めっこをしながら調香しています。IFRA 51st Amendmentは700ページ超の資料。日々、勉強・・・と痛感しています。

International Fragrance Association (IFRA)
Explore IFRA’s global work in fragrance safety, standards, and sustainability—connecting the industry, regulators, and c...

安心して香水をお使いいただけるよう、BLISSでは香水の処方の見直しを行っています。現在、Sold Out中のパルファン 1001 Nightsパルファン Amor Mundiについては最新のIFRAスタンダートにもとづき、処方を再構成してリニューアル予定です。