2026年2月如月の新月。金沢の街を覆っていた雪はここ数日の陽気と雨で解けていきました。
奥能登の八重桜
2月4日立春。前年の晩春に摘ませていただいた能登半島・能登町九十九湾の海沿いにある八重桜の花を数カ月塩漬けにした後、お米由来の発酵エタノールに数週間浸して、エッセンスを抽出しました。
八重桜のエッセンスを抽出するのは昨年に引き続き2回目。塩漬けにすることで八重桜に含まれる成分が加水分解され、桜餅の香りのもととなる甘いクマリンが生成。エタノールに浸すことで、ブランデーのような艶やかでとろみのある感触も加わります。色褪せた花の色が蘇るように、エッセンスの色は鮮やかな緋色を帯びていきました。
2024年元旦の能登半島地震から2年が経ち、時間とともに記憶も関心も薄れていると同じ石川県に住む私ですら感じてしまいます。震災後も変わらず咲き誇っていた八重桜の香りは私と能登を瞬時につなぐ扉のような存在になっています。

アーレント トークイベント
1st Collection #2 パルファン Amor Mundi からはじまったハンナ・アーレントの探求。来月書店6号室との共同企画として、アーレント研究者・二井彬緒さんをお招きして、トークイベントを開催する運びとなりました。素晴らしいゲストの方々にもご登壇いただき、対談も予定しています。テーマは「共生」。<10・7>以降激化するパレスチナ・ユダヤ問題、過熱する排外主義、世界各地で深刻化する分断と対立に向き合っていくために、今一度、かつてアーレントが提唱していた共生国家論ーーパレスチナ・ユダヤのバイナショナリズムをひも解き、共生の<場所>について考えます。
サブタイトルにある「制作」はアーレント代表作『人間の条件』で分類された3つの行為様式ーーlabor 労働、work 制作、action 活動 より、近年その重要性が注目されている work 制作から。永続する「世界」を形作るモノの制作の中で、思想を所産する芸術作品(アート)により共生の思想が公共の空間で「見える」ための役割や意義について考えていきます。文化を育んできた金沢の街で、現代のコンテクストの中でアートが果たす役割について再考できたらと密やかに願っています。どなたさまもご一緒できましたら嬉しいです。
トークイベント『共生から<場所>をまなざす――制作、アート、アーレント』
日時:2026年3月10日(火) 18:30開場 19:00開演 21:00終演
会場:金沢21世紀美術館シアター21(石川県金沢市広坂1-2-1)
参加費:一般1,000円、学生500円
ご予約:お申込みフォーム・当日券有
詳細:3/10(火)『共生から<場所>をまなざすーー制作、アート、アーレント』トークイベント
当日は暫くSOLD OUTとなっていた、パルファン 1001 Nights、パルファン Amor Mundi もリニューアル販売予定です。
春の展示
モビール作家・三崎大地さんとともに、白鷺美術にて3/20春分の日から展示を予定しています。香水の発表としてではなく、香りの展示ははじめて。調香の過程をいかに可視化していくか、難しいようで、結局はいつも行っていることを開示するだけのこと。やっていることはあまりにもアナログで、剥いたばかりのアコヤガイのようにそのままを晒け出してしまうような。こちらも春のお散歩がてら、足をお運びいただけましたら嬉しいです。詳細は近日ご案内予定です。
陽気から反転して、寒さが再びやってきています。どうか温かくお過ごしください。
Photo on the top by Daichi Misaki


